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校正で明らかな誤りを修正指示するときは赤ペンを使うので、「赤入れ」「赤字を入れる」などと言います。そのため校正=赤字、というイメージが強いと思いますが、校正作業を進めていると必ずと言っていいほど疑問点や、確認したほうがよいと思う箇所に出会います。その場合は黒鉛筆を用いて校正紙に疑問や指摘、提案などを書き込みます。これは「鉛筆出し」「疑問出し」などと呼ばれます。
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鉛筆出しは、誤りではないけれど正しくもないと思われる箇所、例えば「事実関係が違うのでは?」「(標準用字用語からみて)用語の誤りでは?」「決めてある表記統一と合っていないが方針が変わったのか?」などの文章の指摘に使われ場合によっては、鉛筆出しが赤入れよりも多くなることがあります。
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鉛筆出しは校正者からの「指摘」や「質問」です。社内報ご担当者様また社内報の記事の執筆者様に対して「検討」「判断」を求めているものです(また、執筆者の表現や意図に踏み込みすぎないように赤字を避けるという校正側の配慮の気持ちもあります)。 その鉛筆出しを採用するか否かの判断は、最終的には社内報ご担当者様(執筆者への確認も含めて)に委ねられます。また原稿はお客様(執筆者)のものですので校正者の指摘や意見が全て通るということは当然なく、検討の結果却下もされます。なかには明らかな誤りに対しての修正のみとなることもあります。それは社内報ご担当者様独自の方針によるもの、また社長挨拶などでご本人の文言を尊重する場合などです(ただし引用文の場合は原文ママが基本)。 (校正サイト「貴社独自の表記ルール・用字用語の統一」)
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校正者にとって明らかな誤りを正すのが、最低限の絶対条件であることは言うまでもありません。しかし、この赤入れという作業だけではなく、さまざまな視点から「問題点を見つける」ことも役割として重要ではないかと思います。 とはいえ、まるで重箱の隅をつつくように何が何でも表記のバラツキや問題点を見つけようとするやり方は制作作業を阻害するだけでなく、社内報ご担当者様の固有の文体や表現を傷つけることもあるので、校正として好ましいとは言えないでしょう。いかに鉛筆の箇所を必要最小限にとどめるかも、校正者の大事な技術のひとつではないかと(自戒を込めて)思います。 また、校正紙を赤だらけ(黒だらけ)にしないためには、あらかじめ社内報ご担当者様、当社営業窓口、ディレクター、校正者等でできるだけ細かく方針を取り決めて共有しておくことも必要であると思います。お仕事のご依頼時にお客様からの情報や方針をお伺いするのはそのためでもあります。
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当社の文字校正は、社内報ご担当者様のご意向を尊重するとともに、正確さ・わかりやすさ・読みやすさに万全を期すべく鉛筆出し(疑問出し)をすることが多々あると思いますが、何卒ご理解いただけますと幸いです。