11月3日は文化の日。
毎年、4月29日の「昭和の日」と11月3日の「文化の日」に授与される「春秋叙勲・褒章」はニュースで取り上げられますので、ご存知の方は多いと思います。
勲章と褒章2つの栄典授与制度は、明治以来の長い歴史と伝統がありますが、平成になると、時代の変化に対応して制度の見直しが行われ、これまであまり栄典が授与されてこなかった分野で活躍している民間の方々へも、積極的に栄典授与が進められるようになりました。
ところで、この文化勲章の授与を受けることを「受章」と書きますが、「受賞」とどう違うのでしょうか。
「受賞」は、功績などが認められて賞や賞状、賞金などをもらうという意味です。
「賞」は「ほうび」、「受」は「受ける」を意味しています。
一等賞や金賞などであり、ノーベル賞、芥川賞や直木賞、アカデミー賞などは「賞」を使います。
一方、「受章」の「章」は「しるし・象徴」を表しており、特に優れた功績を残した人が、文化勲章など国が与える勲章や褒章を受けるという意味です。
国から与えられる栄典に対して使われる点が「受賞」と違います。
いずれも上記と同じく「じゅしょう」と読みますが、「受賞」「受章」=賞・章を受ける、に対して、賞・章を授ける、という意味になります。
式典は通常、賞を授ける側が開催しますので、「受賞式」ではなく「授賞式」となります。
ちなみに・・・
「綬章」もまた「じゅしょう」と読みますが、ここまで見てきた意味と若干異なります。
「綬章」の「綬」とは、勲章などを吊り下げるためのひものことで、「ひものついた記章」という意味です。「綬章」と名の付く勲章は「大勲位菊花大綬章」などがあり、いずれも国家や公共に対して特に功労のある人に贈られるものです。
受賞とともに「表彰」という言葉も見てみましょう。
「受賞」は、「受ける」という意味の「受」に「ほうび」という意味の「賞」が使われているので、功績を残した人や団体が賞を「受ける」ことを表しています。
一方、「表彰」は「表」も「彰」も、「あきらかにする」という意味を表します。
よって、「受賞」は「ほめられる側」を主体として「ほうびをもらう」という意味合いなのに対し、「表彰」は「ほめる側」を主体として「善行や功績をほめたたえ、人々に広く知らせる」という意味合いになります。
「受賞」と「受章」、「受賞」と「表彰」の意味の違い、いかがでしたでしょうか。
どれも多くの人から称えられる場面で使われる言葉で、イメージも共通することから、違いを意識することなくなんとなく使っていた人も多いのではないでしょうか。
しかし、これらの言葉はけっして同じ意味というわけではなく、明確に区別すべき言葉であることがおわかりいただけたかと思います。