こんにちは。
東京文京区 護国寺 の広報をデザインする会社、株式会社ユー・エス・エスです。
「エスノグラフィー」と「デザイン思考」という言葉を聞いたことがありますか?
これらの手法は、企業のコミュニケーション戦略を革新するための効果的な方法です。
社内報や広報誌、会報誌は、企業内のコミュニケーションを円滑にし、社員のエンゲージメントを高める重要なツールですが、従来の制作方法では読者のニーズに十分に応えられていないことが多いのが現実です。そこで、エスノグラフィーとデザイン思考を組み合わせた新しいアプローチをおこなうことにより、社員の声を直接反映させ、より効果的で魅力的なコンテンツを生み出すことが可能になります。
本記事では、具体的なプロセスと実践例を通じて、社内報や広報誌の制作をどのように進化させることができるのかをご紹介します。
●身近な例:
スーパーマーケットで新しい商品を開発する際、お客さんの買い物の仕方を観察することです。
例えば、
・どの順番で商品を選ぶか
・どんな表情で商品を見ているか
・どのくらいの時間を各コーナーで過ごすか
このような観察を通じて、お客さんの本当のニーズや行動パターンを理解します。
●身近な例:
スマートフォンのアプリを作る過程を考えてみましょう。デザイン思考のステップは以下のようになります。
1. 〈共感〉 ユーザーの生活を観察し、理解する
2. 〈問題定義〉ユーザーが抱える本当の課題を明確にする
3. 〈アイデア出し〉課題解決のためのアイデアを考える
4. 〈プロトタイプ作成〉 アイデアを形にする
5. 〈テスト〉ユーザーに試してもらい、フィードバックを得る
●具体例:
高齢者向けのスマートフォンを開発する場合
1. 〈エスノグラフィー〉 高齢者の日常生活を観察し、スマートフォンの使い方や困っている点を理解します。
2. 〈デザイン思考〉
・観察結果から、「画面が小さくて見にくい」「複雑な操作が難しい」などの問題を定義します。
・これらの問題を解決するアイデアを出し、大きな文字や簡単な操作ボタンを取り入れたプロトタイプを作ります。
・高齢者に実際に使ってもらい、さらに改善を重ねます。
このように、エスノグラフィーで得た深い理解をもとに、デザイン思考のプロセスを進めることで、ユーザーのニーズにより適した製品やサービスを生み出すことができます。
では、この方法で社内報や広報誌、会報誌をさらに向上させるためのプロセスを考えてみます。このプロセスを通じて、読者のニーズに合った、より効果的な社内報や広報誌、会報誌を作ることができます。大切なのは、実際に使う人の視点に立って、常に改善を続けることです。
具体的なリニューアル方法を見てみましょう。
〈目的〉社員が社内報をどのように利用しているか、どのような情報を求めているかを深く理解するため。
観察:
エスノグラフィーの手法を用いて、社員が社内報を読む様子を観察します。オフィス内での閲覧状況や、どのような場面で社内報を利用しているかを詳細に記録します。
インタビュー:
観察結果をもとに、社員にインタビューを行い、社内報に対する意見や改善点を聞き出します。
発見したこと:
・社員は通勤時間や昼休みなど、限られた時間に社内報を読むことが多い。
・長い記事は最後まで読まれないことが多く、短くて要点がまとまった記事が好まれている。
・部門ごとの活動報告や成功事例に関心が高いが、現行の社内報ではそれらが十分にカバーされていない。
共感:
エスノグラフィーで得たインサイトをもとに、社員のニーズや課題に共感します。社員がどのような情報を求めているのか、どのような形式で情報を受け取りたいのかを理解します。
課題定義:
社員が求める情報を効率的に提供し、読みやすくするための具体的な課題を定義します。例えば、「短時間で重要な情報を得られる社内報のデザインを作成する」といった課題を設定します。
アイデア創出:
ブレインストーミングを通じて、社員のニーズに応えるためのアイデアを出します。例えば、以下のようなアイデアが出てきます。
・短い記事と要約を中心にしたレイアウト
・部門ごとの活動報告を特集するコーナーの設置
・視覚的にわかりやすいインフォグラフィックスの導入
プロトタイプ作成:
アイデアをもとに、実際の社内報のプロトタイプを作成します。新しいレイアウトや記事形式を試し、社員に実際に読んでもらいます。
テストとフィードバック:
プロトタイプを社員に配布し、フィードバックを収集します。どの部分が読みやすかったか、どの情報が役立ったかを確認し、さらに改善点を洗い出します。
新しい社内報は、社員から高い評価を得ました。短時間で重要な情報を得られるようになり、部門ごとの活動報告が充実したことで、社内のコミュニケーションが活性化しました。また、視覚的にわかりやすいデザインが好評で、社内報の閲覧率が向上しました。
このように、エスノグラフィーとデザイン思考を組み合わせることで、社員のニーズに応じた効果的な社内報を制作することができました。このアプローチは、他の広報誌や会報誌の制作にも応用できます。
エスノグラフィーとデザイン思考を組み合わせることで、社員の実際の行動やニーズを深く理解し、その洞察を基に創造的な解決策を考え、より効果的で魅力的なコンテンツを生み出すことが可能になります。このアプローチは、単に情報を伝えるだけでなく、社員のエンゲージメントを高め、企業全体のコミュニケーションを活性化させる力を持っています。
ぜひ、エスノグラフィーとデザイン思考を取り入れて、社内報や広報誌の新しい可能性を探ってみてください。